『Atomic Habits』を読んだ

Atomic Habitsを読み終えた。

習慣についての知見をまとめた、重厚なライフハック本。退屈しない内容だった。この手の本は「こうやると上手くいきます、こうしましょう」と言うだけの内容が多いように思うが、Atomic Habitsはそれらと比べると物事の背景にもう一歩二歩と踏み込んだ話が多い印象だった。

邦題は『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』というらしい。覚えられる気がしない。Atomic Habitsと呼ぶことにする。1日1%ずつ改善すれば1年後には37倍になっている、という話が序盤の方に出てくる。その部分を拾って「複利で伸びる」としたのだろう。「良い状態をずっと保つ」のではなく「毎日少しずつ良くしていく」というスタンスを重視するのは、飛躍的に成長していくためには非常に重要な話だ。

1日10時間近くの勉強を1年以上続けている人が「モチベーションで物事を継続しようとするな、仕組みで駆動しろ、この本に詳しく書いてあるから」と紹介していたのが、読み始めたきっかけ。実際、期待通りの内容が書いてあって良かった。

モチベーションに依存せずに物事を成すのを良しとするとはいえ、モチベーションに対するハックの話は沢山出てきた。例えば、やるべきことをやりやすくするように環境を変えていくこと。その逆に、やるべきでないことをより難しくするように変えること(例えば通知をオフにするとか)など。

次のような、こういう細かいことってあんまり真面目に掘り下げて書かれることないよなー、という話が具体的に書かれているところが良かった。数ページだけじゃなくてあと数十ページぐらいその話についてもっと語ってほしいんだけど、というトピックが何個かあったのも良かった。

  • 未知の物事に取り組むとき、探索と試行の割合をどうするか
  • 最初はどう始めるか、スケールしたらどうなるか
  • 継続が途切れたときのリカバリーをどうするか
  • 仮に目標が無くても仕組みだけで継続できるのか

何でもできるデバイスを持つと、何も用がなくても手放すコストの方が高いから触り続けてしまう、だから単機能のデバイス群に分けるべきで……という話が出てきたのも良かった。SNSとの付き合い方の話も出てくるし、わりと現代的な話というか、2010年代から2020年代的な話であるなと思う。


Audible版とKindle版を併用しながら読み進めようとしたのだけど、結局9割ほどをAudibleで消化することになった。散歩中や買い物中、サウナ後に転がっているときなどなどに読めるのが良い。