RubyのDockerイメージでよく使う環境変数

Ruby向けのDockerイメージで使いがちな環境変数について整理する。

GEM_HOME

RubyGemsに対して、どのディレクトリにGemをインストールするかを指定する環境変数。例えば gem install foo を実行すると、この環境変数で指定したディレクトリにfoo gemがインストールされる。

Dockerでありがちな作戦として、/gem のような適当なパスにデータボリュームをマウントしておいて、そこにGemを永続化させておくというのがある。このときGEM_HOMEを /gem に指定しておくと、gem install bundler を実行したときそこにBundlerがインストールされ、更に /gem/bin/bundle も用意される。

BUNDLE_PATH

Bundlerに対して、どのディレクトリにGemをインストールするかを指定する環境変数。例えば bundle install を実行すると、この環境変数で指定したディレクトリに、Gemfileで指定されているGemとその依存Gemがインストールされる。

GEM_HOMEの項目で説明した話と同様に、BUNDLE_PATHを /gem に指定しておくと、bundle install でそこに各種Gemがインストールされるようになり、都合が良い。

BUNDLE_BIN

Bundlerに対して、実行ファイルを追加で配置するディレクトリを指定する環境変数。

例えばBUNDLE_BINを /gem/bin と指定し、Gemfileに gem 'rubocop' を含みつつ bundle install を実行すると、/gem/bin/rubocop が用意される。これにより /gem/bin/rubocop のように実行したり、環境変数PATHに /gem/bin を含めておいて rubocop と実行したりできる。もちろん、この仕組みを使わず bundle exec rubocop のように実行しても良い。

BUNDLE_APP_CONFIG

Bundlerに対して、設定ファイルの配置されるディレクトリを指定する環境変数。

例えば bundle config set --local path vendor/bundle とか、1系の頃のBundlerであれば bundle install --path vendor/bundle のように指定すると、このディレクトリのconfigというファイルにパスに関する設定が書き込まれ、bundle install の実行時に利用されるようになる。環境変数で指定されなかった場合は、カレントディレクトリの .bundle というディレクトリが利用される。

DockerHub公式のRuby向けDockerイメージでは、BUNDLE_APP_CONFIGが /usr/local/bundle に設定されているので、これを知らないとその挙動に驚かされがち。

Dockerfileの設定例

ここまでの話を元に、開発環境で使うRuby向けのDockerfileの設定例を用意してみる。

# Note that we use data-volume mounted on /gem to persistent gems.

# Let RubyGems install gems into /gem and install executables into /gem/bin.
ENV GEM_HOME=/gem

# Let Bundler install gems into /gem.
ENV BUNDLE_PATH=/gem

# Let Bundler install executables into /gem/bin.
ENV BUNDLE_BIN=/gem/bin

# Let shells search executables from /gem/bin.
ENV PATH="/gem/bin:${PATH}"

利用すべきBundlerのバージョンはアプリケーション側のGemfile.lockで指定されているので、DockerfileにBundlerのインストール工程を含むことは避け、アプリケーション側の bin/setup 等の環境構築用スクリプト内でそれをやってもらう、という想定をしている。