『Oxygen Not Included』コロニー百景

Oxygen Not Included という惑星入植シミュレーションゲームで、最近つくっているコロニーの様子を紹介します。

Oxygen Not Included on Steam

開拓の歴史

開拓の歴史 I
開拓の歴史 I

これは開始時点の様子です。クローン人間製造機の前に突如放り出された3人。まずは生活に必要なものをつくりながら、周りに見える水源を整理していこうと思います。

開拓の歴史 II
開拓の歴史 II

ひとまずトイレとベッドを用意し、治水工事を進めています。人力発電機や研究端末を設置し、今後の生活に必要な技術の研究開発も進めています。目下の問題は食糧事情の改善です。

開拓の歴史 III
開拓の歴史 III

食糧生産のために農業を開始しました。また、研究開発が進み、緑藻脱酸素装置が導入されました。これにより、採掘でたまに見つかる緑藻を分解し、生命維持に必要な酸素を供給できるようになりました。

治水工事も着々と進んでおり、水源が地下にまとめられていっています。最近『シドニアの騎士』という SF 漫画を読み返していたんですが、シドニアの宇宙船には居住区の最下部に基底湖と呼ばれる貯水池があり、人工雨や人工雪を降らすために利用された水が貯まるようになっているそうです。これに倣い、このコロニーも地下に水源をまとめることにしました。

開拓の歴史 IV
開拓の歴史 IV

コロニーの外側が高温地帯に囲まれており、このままでは農業に適した気温ではなくなってしまうため、外壁を断熱材で囲むことにしました。中央部に吹き抜けとハシゴを設け、左側を居住区画、中央を農業区画、右側を作業区画としています。

また、地下の治水工事が完了したため、水洗トイレやシャワーが導入されました。トイレやシャワーからは汚水が発生するため、シャワールームの地下に生活排水槽を設けています。この汚水内では食中毒の原因になる細菌が繁殖しているため、浄水器にかけても上水として再利用することができません。そこで、水を酸素と水素に電気分解する設備をコロニー右上部につくり、水中でしか生きられない食中毒菌をやっつけつつ、生命維持に必要な酸素を供給することにしました。

開拓の歴史 V
開拓の歴史 V

酸素生成プラントが完成し、生活排水を元に、コロニー内に酸素が安定供給されるようになりました。発生した水素は水素発電機に流し込み、電力の足しにしています。電力を消費する機械が増えてきたため、人力発電機も石炭発電機に置き換えられています。石炭は貴重な資源ですが、幸いにもこの星には石を食べて石炭を生成する動物が住んでいるため、この動物を石炭発電室で飼育することにしました。発電施設や酸素生成プラントは排熱が大きいため、断熱壁の外側に設置しています。

また、生活に必要な資源を確保する目的で壁外調査を進めるため、少量ながら宇宙服を用意し、調査兵団の出撃地点をコロニー左上にまとめました。コロニー外部は酸素が乏しく、-10℃ や 90℃ を超えるような厳しい寒暖差、呼吸で感染する腐肺病菌など、危険な要素が多いため、この装備によってようやく安心して壁外に人間を送り出せるようになります。

開拓の歴史 VI
開拓の歴史 VI

壁外調査が進み、コロニーに様々な恩恵がもたらされました。まず1つは水の確保です。初期の水源が完全に枯渇したため、壁外の汚染地帯から汚染水をかき集め、コロニー最深部に別の貯水湖を設けました。汚染水とはいえ、これは食中毒菌が1体も存在しない無菌の液体のため、浄水して利用することができます。

次は寒冷地帯からの収穫物。これまでは酸素生成プラントや石炭発電機からの排熱が問題になっており、とりあえず断熱壁外に追いやっている状況でしたが、氷地帯に生えていた冷却機能を持つ植物をコロニー内に大量に植えることで、コロニー内を涼しい状態に保てるようになりました。

最後は石油です。地下深くの高温地帯を掘り進めることで、原油を掘り当てることに成功し、これを精油して石油をつくれるようになりました。更にこれを加工し、プラスチック製の快適なベッドをつくり、これまでの無骨なベッドを置き換えました。このコロニーは電気分解で発生する水素の発電だけで回っていますが、電力が足りなければ石油発電もできるようです。

開拓の歴史 VII
開拓の歴史 VII

これが現在の様子。初期の水源が枯れた跡地をキノコ農場に作り変えたり、地下の第二貯水湖で魚を飼い始めたりして、食卓にキノコや卵、肉が並ぶようになりました。住民の生活レベルは向上し、毎朝コーヒーを飲んだり、ガラス細工を楽しんだり、アーケードゲームで遊んだり、DJ ブースで踊りすぎてブレーカーを落としたりして楽しく暮らしています。電力消費を抑えるため、昔から照明代わりにホタルみたいな生物を飼っていたんですが、これが繁殖し、コロニー中が明るい光で包まれています。

これまでに学んだ知識を元に酸素生成プラントを再設計した結果、面積がこれまでの四分の一で済むようになり、部屋が余るようになったので。16人での生活を想定してコロニー全体を微妙に再設計しました。いまは入居者を募集しているところですが、面接で落としたりしているので、まだ空きがあります。

ところで外界の様子が様変わりしていますが、研究中などの暇な時間を利用して、世界中の資源をすべて掘り尽くしてしまいました。現在は別の惑星に有人ロケットを送り込み、有機体が存在するとみられる星から、新種の生物や資源を持ち帰ってくるのを待っているところです。

部屋割り

このゲームでは、部屋として認められる最大サイズの多くは64タイルに設定されています。また、人間は高さ4タイルまで採掘や建築を行えます。そのため、自分は基本的に 4 × 16 の64タイルでそれぞれの部屋を構成するように統一してみています。これが影響して、様々な数が 4 の倍数になっています。

このゲームには二種類のベッドがあり、序盤でつくれるベッドは幅が2タイルあります。部屋の幅が 16タイルであることを考えると、序盤は寝室を8人で使うと無駄がありません。このことから、序盤は8人で生活し、中盤からは16人に増やすことを想定して部屋の設計を行っています。

コロニーを左右方向に3分割して捉えると、左側は衣食住を行う居住塔、中央は工芸や訓練を行う作業塔、右側は生活に必要な機器を扱う機械塔になっています。

コロニーを上下方向に3分割して捉えると、上部は軽い水素を利用した冷却区画、中央部は酸素を利用した生活区画、下部は重い二酸化炭素を利用した農園区画になっています。

液体配管

シャワーやトイレなど、生活に必要な多くの機器は液体配管を必要とします。しかし生活圏内にパイプを通すと、見た目の悪さが人間の士気に影響を与えたり、お湯を通したパイプから熱が伝わって生活圏内が温暖化したりといったデメリットが生じます。そのため、液体配管が必要な機械類を置く部屋を右側の塔にまとめ、外壁から配管することで、これらのデメリットを抑えています。

周囲に熱を伝えにくい断熱管は見た目が悪く、周囲の人間の士気に影響を与えるため、生活圏内では極力利用を避けたいものです。トイレや手洗い場の液体の流れに着目すると、上水用パイプ内には液体が滞留しがちな一方、下水用パイプは基本的に即座に空になるため、断熱管は上水にしか必要がないことが分かります。

気体配管

液体と異なり、生活圏内では気体配管を必要とする機器はほとんどありません。このコロニーでは、酸素生成プラントで生成した酸素を、生活圏内の通風口と宇宙服ドックに供給するために気体用の配管がされています。

気体用配管は環状に繋がっており、右上の酸素生成プラントを起点として反時計回りに酸素が循環しています。生成された酸素は、すぐ上の水素冷却室で冷やされ、宇宙服ドックと生活圏内に運搬されていきます。

この酸素は冷媒としての役割も担っており、供給途中でパイプの外気と温度交換を行わせることで、水素冷却室の冷たさを運搬し、コロニー全体が涼しく保たれるようにしています。

配電

細い電線には最大1000W、太い電線には最大20000Wの電力を流せますが、太い電線は見た目を著しく損ね、周囲の人間の士気を大きく下げてしまいます。そういった理由から、太い電線を外壁の周囲に這わせ、随所で変圧して壁内に細い電線を通すようにしてみました。唯一の例外として、壁内の酸素生成プラントと石炭発電機に大容量電線を這わせていますが、これらは無人で動作する設備なので問題ありません。

変圧器は、生活圏の左、右下、右、右上、上の合計5つ用意されており、5つの電線網が配線されています。右側に変圧器が多いのは、機械類を右側の塔に集約していることが影響しています。

細い電線も微量ながら見た目に悪影響を及ぼすので、配線時には少し気を付けています。細い電線の見た目は半径1タイルまで影響しますが、壁内や壁の向こう側など、人間の視野外では影響を及ぼしません。そのため、基本的に細い電線は壁と床を通し、天井と床のうち、配線口により近い側から配線するようにしています。

このコロニーでは中央塔の部屋が宙に浮いているため、左右の塔から中央塔に配線する箇所では、どうしても電線が露出してしまいます。また、配線口が床に近い機器に配線する場合にも、床から配線口までの間に電線が露出し、床を通る人間に見た目の悪さが影響してしまいます。この場合に限っては、高コストな素材を使う代わりに見た目が悪くならない導電線を利用することで、影響が抑えられます。

食堂

移動効率を考え、食糧を保存・加工・消費する場所を近くにまとめてみました。このゲームでは、4℃ 以上の温度で酸素に接している食糧は、例え箱などにしまっておいても数日程度で腐ってしまうシステムになっています。そのため、初期の頃から食堂の地下に食糧庫を用意しておき、人間が吐いた二酸化炭素を溜め、食糧庫を二酸化炭素で満たしておきました。食糧庫に着目して開拓の歴史を見返すと、食堂の床材を空気を通す素材でつくっていることが分かると思います。

食品は冷蔵庫にしまっていますが、4℃ 以下に冷やすために冷蔵庫を起用しているわけではないので、電源には繋いでいません。普通の食糧保存箱よりも1マスあたりの収納量が大きいという理由で、冷蔵庫を利用しています。28個の冷蔵庫があり、およそ1500人日分の食糧を保存できます。

食糧輸送路
食糧輸送路

食糧庫には、農場から収穫されたキノコがベルトコンベアでが流れてくるようになっています。台形の箱が終着点で、ここまでキノコが到着すると、天井に取り付けられた掃除機が自動的に動作し、箱からキノコを吸い出し、冷蔵庫内に吹き込んでくれます。同様にキッチンの天井にも掃除機が付いていて、調理し終えたキノコをベルトコンベアに載せてくれます。

キッチンと食堂との間 (ハシゴの上) に金属の部品のようなものが浮いていることに、訓練されたプレーヤーの方ならお気付きになったかもしれません。これは、ドアが開けっぱなしになった状態を表しており、要はここにはドアが設置されています。そのため、キッチンと食堂の間は、別の部屋としてドアで区切られているということになっています。このゲームの人間は、食堂で食事を摂らせると士気が上がるようになっていますが、掃除機が設置されている部屋を食堂と認めてくれないため、ドアを置くことで部屋が区切られるようにしています。

ドアを開けっぱなしにしているのは、常に閉めるようにすると、通行時に開け閉めするのに時間が掛かってしまうためです。これは現実世界でも使えるテクニックです。コロニー内をよく見ると、部屋を区切るため、随所に開放状態のドアが設置されています。

食糧生産施設

キノコ農園
キノコ農園

生活圏最下層ではキノコを栽培しています。そういえば前述したシドニアでも、水はけの良さからか居住区基底部でキノコが栽培されていました。

このコロニーでは珍しくドアが閉まっていますが、これはシャインバグが迷い込んでくるのを防ぐためです。このキノコはダスクキャップという品種で、dusk (夕暮れ) という言葉が冠されているように、暗いところでしか育ちません。生活圏内では発光するシャインバグを放し飼いにしているため、農園に入ってこないようにドアを閉めています。

ヘドロ輸送路
ヘドロ輸送路

肥料となるヘドロや収穫したキノコの運搬を自動化するために、掃除機やベルトコンベアを利用しています。

ベルトコンベアの終端装置に薄い水の膜が張られているのは、終端装置内に溜まっているヘドロが、空気中で自然分解されて汚染酸素に変化するのを防ぐためです。ダスクキャップの肥料となるヘドロには、気体中に存在していると時間経過と共に少しずつ汚染酸素に変化していくという性質があります。しかしこのゲームでは、1つのタイルには (アイテム化しない限り) 同じ種類かつ同じ形状の物質しか存在できないという制約があります。この制約から、水が存在しているマスには気体が存在できず、結果的に汚染酸素が発生しません。これを利用して、壁から露出せざるを得ないベルトコンベア終端地点では、水を少し撒いておくことで、ヘドロの変化を防いでいます。同様に、ヘドロ格納庫は水中に設置し、ベルトコンベアは必ず壁や液体の中を通すことで、輸送経路でのヘドロの変化を防いでいます。

バスルーム

16人に対してトイレとシャワーを4つずつ用意しています。このゲームでは人間のスケジュールをグループごとに管理できるので、4人ずつのグループを用意し、入浴時間や休憩時間が重ならないようにずらすことで、4つずつでも十分足りるようになります。

トイレと同数の手洗い場が用意されており、現実的に考えると少し多いような印象を受けるかもしれませんが、このゲームの人間は全員同時にトイレに行くことが多いため、同数の手洗い場がある方が望ましいだろうと考えています。もし手洗い場が足りない場合、人間は手を洗わずに出ていき、コロニーに食中毒菌がもたらされます。

液体が室外に溢れないようにするため、汚染水槽には上側から出入りできるようにする必要があります。また、ボトルに詰めた汚染水を上から投棄できるようにもしたいので、上側にも少しスペースが必要です。これらの理由で、汚染水槽の上にはフルサイズの (64タイルの) 部屋を用意できません。そのため、あまりスペースを取らないシャワールームをこの余剰空間に配置することで、上手く折り合いをつけています。

配管は上図のようになっています。昔の名残で見た目の悪い断熱管が残されていますが、冷房が効くようになったので、これは普通のパイプに取り替えた方が良さそうですね。

更に言えば、上水は滞留しやすい傾向があることから、上水用パイプはなるべく温度交換の起こりにくい床を通し、見た目の悪い断熱管を使うにしても、不要な部分を床外に出すことは極力避けた方が良かったように思います。普段から上水は床下を通し、下水は床を通すように統一していましたが、温度交換の傾向を考えると、これは逆にした方が効率が良さそうだという発見がありました。

研究施設

絵とマッサージ機があればマッサージルームとして認められますが、それだけだと部屋が余る上に、マッサージ機はほとんど使われることが無いので、研究設備を併設して研究施設として利用しています。

研究施設では水を利用します。スパコンの利用に水が必要で、しかも手で運んだボトル入りの水しか使えません。スパコンを冷やすのに必死に水をかけてるんでしょうか。そういう訳なので、移動経路を短縮するためにスパコンの隣に水汲み場が用意されています。

水汲み場ですが、水圧センサーを仕込んでおり、足りなくなったら水が追加されるようになっています。水圧センサーと遮断器と排水口を置いて繋ぐだけで、手軽に自動化できます。

酸素生成プラント

水を電気分解して、水素と酸素を生成しています。1セットが左右に2つ用意されている状態です。理論値では16人分の酸素が生成できますが、「気圧が1000g/tileを超えていると電解装置が停止してしまう」「吸気ポンプは異なる種類の気体を同時に吸えない」「気体パイプの最大スループットは1000g/s」という制約があり、実際の性能はもっと低くなります。この辺りはまだまだ改善の余地がありそうです。

1セットで610W消費し、水素発電で800W得ている状態なので、理論値で2セット稼働した場合は380Wの電力が得られます。

電解装置は167g/sの水素と833g/sの酸素を排気するため、500g/sの吸気ポンプ2台でこれを吸っています。吸気ポンプを左右に並べず上下に並べて配置しているのは、「吸気ポンプは異なる種類の気体を同時に吸えない」という制約のためです。なるべく1度に沢山の気体を吸い込むには、できるだけ同じ種類の気体を同じ箇所に集め、気圧を上げる必要があります。水素は酸素より軽く上に移動する傾向にあるので、なるべく水素を上に集め、上側の吸気ポンプを水素用ということにしました。

吸気ポンプから吸った気体は水素あるいは酸素なので、気体用パイプ元素センサーと遮断器を自動化ワイヤーで繋いで、水素を検知したときだけ遮断器を開けるようにしています。こうすることで、10W の電力で水素だけを取り分けられます。但し、この仕組みはパイプが完全に詰まっている場合に誤動作し、酸素を通してしまうという問題があります。

パイプが詰まりそうな場合に、それを検知して吸気ポンプと電解装置を停止させるために、ブリッジを利用した優先分岐と優先合流を用いています。詳細は省きますが、この仕組みにより、パイプが詰まりそうな場合にだけ通る経路ができます。この経路上に酸素が到達したときにセンサーで検知することで、パイプが詰まりそうなことを認識し、機器を停止させています。酸素が通っていないときだけ装置を稼働させるということで、NOT ゲートを利用しています。

生成した酸素は温度が高めなので、まず上の水素冷却室を通して温度を下げてから、コロニー内に排気します。この水素冷却室は -25℃ 程度の温度になっています。

水素冷却室に生やしている縦2タイルの大きさの植物は、下部に存在する気体を最大1000g/s吸い、上部から同量の気体を排出します。この際、気体の種類がなんであれ、温度を5℃ 下げて排出します。そういう訳なので、よりグラム比熱の高い気体を吸わせるほうが、より高い冷却効果が望めます。このゲームでは、酸素の比熱が 1J/g·K なのに対し、水素の比熱が 2.4 J/g·K あるため、水素を利用することで酸素の2.4倍冷やせます。ワット換算で言うと、酸素だと-5kW、水素だと-12kWの仕事率ということになります。幸い電解装置からは水素が手軽に得られるので、水素発電機から少し分けてもらえば、水素で満たした部屋を簡単につくれます。

よく考えたら酸素生成プラント全体で11kWしか排熱しないので、植物1本で十分な冷却効果が得られますが、なんとなく沢山生やしてるせいで冷やしすぎてしまっています。上の階の寝室は少し寒すぎるかもしれません。