FF15の感想
ネタバレは避けてますが、代わりにかなり歯切れの悪い感想に仕上がってます。
TL;DR
最高
はじめに
発売日に買って翌日までやり込んでようやくクリアしたんだけど、釣りや散策などの横方向への広がりが意外と奥深く、最短でクリアして良かった良くなかったみたいな話をするのは勿体無いなと思ってしばらく黙っていた。特に釣りはやり込むと面白くて、この魚達との熱い戦いをメインの戦闘部分にももっと活かせなかったのかと悔やまれるほどによく出来ている。しかし1週間ほど経ってようやく落ち着いてきたので、この辺りで感想を書くことにした。
書こうとしてみて思ったけど、物事の駄目なところって簡単につつけるのに、いいところを紹介するのって難しい。同意を得たいのであれば、昨今のゲーム業界的な背景とか、制作側の意図、それから経済的な事情みたいなもの──つまり政治的な背景に参照を張り巡らした上で、言いたいことを言う、というのが良さそうに思えるけど、そういう回りくどいのはあんまり好むところではないので、個人として特にこれは良かったなあという体験を幾つか紹介したい。
最高のアニメがリアルタイムでどんどん生成される
映像の美麗さがすごいというのは、それはそうなんだけど、齟齬がないように言うと「そのへんの映像より面白いアニメがリアルタイムでどんどん生成される」という表現が体験に近かった。状況に応じた面白シーンがプロシージャルに生成され、唯一無二のプレイ体験が獲得できる──というと未来的な話に聴こえてくるかもしれないけれど、実際きちんと物語に入り込んでプレイしてると、おっ、こいつは確かにこういうところでこういうこと言いそうだなとか、所々で面白談義が聞けたりとか、ストーリーと関係ないところで意外な一面が見られたりだとか、そういう会話が戦闘や探索などのプレイに溶け込む形で表現されるようになっている。イメージでいうと、TOKIOが主人公のどうぶつの森みたいな感じ。
実際のところは状況に応じた反応っていうのがまだまだで、予め用意されたパターンの内の幾つかから選択するという感じなんだけど、しかしそういうものになろうとしているというのは面白かったし、物語の体験に対して効果的に働く場面は何度もあった。パターンが決まっているんでこいつまた同じ発言してるなみたいなところはあるんだけど、何気ない一言が自分に刺さるような場面がたまにあって、そういう体験ができたので、他の場面での粗さや稚拙さみたいなものはほとんど許容できた。
ウェイ感も悪くないなと思っている自分の発見
本作は『旅』を大きなテーマとして置いているんだけど、見てくれとしてはホスト風のイケメン4人がウェイウェイ言いながら釣りとかキャンプとかドライブとかしてるわけ。しかもそういう様子が自動的に写真に残っていく仕組みになってて、宿屋に泊まるたびにウェイの極みみたいな写真を見せつけられるようになっている。でも実際なんとなく楽しそうなんですよね彼ら。主人公たちが楽しそうにしてるとなんか嬉しいし、束の間の休憩の間に溢れたいい笑顔の写真とか見るとつい保存したくなってしまう。
クラスカースト上位勢みたいな声のでかい若者がウェイウェイやってる様子とか嫌いだと思ってたんだけど、ふと我に返ってみると、なんかこういう旅も楽しそうだなあとも思っている自分がいる。心のどこかで、本来こういうものになりたがっている自分がいるのではないかという気付きがあり、これは旅で得た発見だった。発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ、という言葉を思い出すような体験だった。
楽しめる自分で良かった
道中の難易度設定やイベント表現のバランスの悪さ、システムの不出来に対する不安みたいなものにはうんざりしたけど、全体を通して振り返るとすごく楽しめたし、こういうFinal Fantasyも良いなと思った。FFは1から14までそれぞれ何周もしているけれど、その上で言ってもFF15はとても良い体験だった。特に今作のメインの登場人物達のキャラが好きなだけに、作品中で彼らの過去や心情を掘り下げるような場面が少ないのが残念である──とはいえ、その辺りは劇場版やアニメで補完できるつくりになっている。意外と言うと失礼だけど、この辺りの作品群がよくできていて、KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV と BROTHERHOOD | FINAL FANTASY XV 見てない人は見るとより楽しめる。
あと個人的には、FFを楽しめる自分で良かったという気持ちがなんとなく大きい。何かをやるとき、見るとき、聴くとき、食べるときなんかの感想って、結局は対象と自分との相対性の問題になると思っていて、そういう意味では、対象が良いものかどうかという問題に、自分の側がそれを楽しめる存在であるかどうかという問題が付随する。7歳ぐらいのときに初めてFFをやったけど、そのシリーズの最新作をいまでも楽しめるというのは、すごく嬉しいことなんじゃないかなと思う。
おわり
感想は終わりです。これは書いてみたことに対する振り返りだけど、海外レビューで "この文章をタイプしながら、私には(これのような)肯定的評価を目にして『FINAL FANTASY XV』を購入した人が、結果的に失望する未来が見えている" と書いている人がいて、この一文には今であれば大きく同意できる。今はあまりクエスト消化などに拘らず、ゆっくりと散策したり相変わらず釣りをやったりしているところ。最近は、Twitterに上がるすべての明るい写真がFF15のキャプチャに見えて困っている。
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