『デザインの骨格』読んだ

デザインの骨格

年末に読もうと、幾つか会社から本を持って帰ってきていた。その内の一冊、山中俊治の「デザインの骨格」というブログを再構成して書籍化した『デザインの骨格」を読んだ。元々がブログに書かれていたものということで、平易で、専門的過ぎず、諸所に解説もあり、読みやすい内容。自分もこういう文体で文章が書けたら良いなと思うところがあった。

過程の思考

本の中では、著者がこれまでに経験したデザインの過程において、どんなストーリーがあったか、どんなことを考えていたか、ということが綴られている。自分にも、日々ものをつくる上で考えていることが山のようにある。それこそ、文字に起こせば書かれるプログラムの何十倍もの思考がそこにある。きっと他の人にもあるだろうと思う。そういうデザインの過程で生まれた思考や洞察は、例え当人にとってさほど価値の感じられない情報であったとしても、他人にとっては貴重なものであったりする。『デザインの骨格』を読んで価値を感じたのは、そういう類の情報。このブログも日々の情報を残しておくための場所として気まぐれに書いているけれど、自分ではなんでもないと思ったことが他人の何らかの価値になっていれば幸いだと思う。

執念

いくら価値のある情報が含まれていても、面白いストーリーが無ければ読まれにくい。価値ある情報を含んでいるのであれば、同時に人を惹きつけるための表現や構成が含まれていた方が良い。『デザインの骨格』にも「読者を惹きつけるための仕掛け」が含まれているなと感じるところが沢山ある。最近読んだ『アップルのデザイン』は人に文章を読ませるのが非常に上手かった。この『デザインの骨格』を読んだのも、『アップルのデザイン』の中に山中俊治氏のインタビュー記事が含まれていたからでもある。『デザインの骨格』からは視点の豊かさへの憧れを感じられた一方、『アップルのデザイン』からは執念や哲学への渇望を感じた。

アップルのデザイン